抽出される珈琲のしずく

珈琲を淹れて飲む。その楽しみ方や味わい方は人それぞれです。

店舗でお客様に有料で提供する場合はともかく、自宅で自分のために淹れたり、友人と一緒に楽しむ時に正しい方法なんてものはありません。自由気ままでイイんです。しかしながら、より美味しく頂くために気をつけた方がいいポイントといったものはありますので、ネルドリップによる私の珈琲の淹れ方を例にとって、ここで幾つかご紹介いたします。

それが唯一の正解ではもちろんありません。あくまでヒントみたいなものですから、いろいろと試してみてください。味が微妙に違っていくのを味わいつつ、より美味しく頂く方法を追求してみるのもまた珈琲の楽しみ方のひとつだと思います。


珈琲豆の入ったキャニスター

Volume 豆の分量

キャニスターで常温保存している珈琲豆を、一杯あたり約21g使用します。私がいつも使っているメジャースプーンで3杯。コーヒーの濃さは豆の分量とお湯の量、落とす速度で変わるので、一番美味しいと思える分量をみつけた後は一定にします。普通は一杯あたり10g〜15gのようです。

Kalita ナイスカットミル

Grind 豆を挽く

珈琲を淹れる直前に「Kalita ナイスカットミル」で豆を挽きます。挽き始めると広がるコーヒーの香りに気づく、という手動式のミルならではの楽しみを味わう間もなく挽きあがります。
豆は細かく挽くほど表面積が増えて、抽出しやすくなります。美味しい成分とともに雑味やエグミも出やすくなるので調整が微妙となるところで、ネルドリップの場合は中挽きから粗挽き程度が推奨されていますが、私の好みではエスプレッソ用よりはやや荒い中細挽きにしています。普通なら雑味として切り捨てるところにも美味しさを感じているからかもしれません。

南部鉄瓶

Boil 湯を沸かす

南部鉄瓶でお湯を沸かします。ステンレス製のやかんで沸かした場合と比べると、水の臭みやえぐみが取れて味が劇的にまろやかになります。渋みが減った分だけ甘く感じられます。ただし、南部鉄瓶の製造方法の違い(白炭による炭焼きか黒炭による炭焼き等)によって味の変わり方はまちまちのようなので、購入する場合は個々の性質を確認した方がいいようです。

アラジン型のコーヒーポット

Temperature 湯温の調節

ドリップ用のポットにお湯を移し替えます。この時お湯の量にもよりますが、湯温はだいたい90度から92度になります。湯温が高いと苦味が強くなり、低いと酸味が強調されます。また、湯温が下がると抽出しにくくなりますが、挽いた豆の細かさとも関係してくるので、何度も試行錯誤します。毎回、淹れ始めの湯温を温度計を使って明確にすることで、適切な温度を探ります。ブブズ・フレンチの場合は75度に設定しています。(Uncle-BuBuのフレンチは70度でした。)ポットの湯温が80度に下がるのを待って淹れ始めると、淹れ終わった時の湯温は70度になっています。コーヒーを美味しく頂くために、始めのうちはいちいち温度計を使うことをお薦めします。慣れてくると使わなくても大体わかるようになります。

カリタの銅ポット

Drip Pot お湯の落とし方

お湯の落とし方ひとつで抽出の具合が変わります。狙った場所に思い通りの量のお湯を注ぐには、手に合った道具選びが重要です。以前はアラジン型のコーヒーポット(右上写真) を使っていました。注ぎ口に空気溜りがあるタイプの方が湯量をコントロールし易いからですが、現在は「カリタ 銅ポット 900ml」(右写真) を使用しています。ドリップの際、お湯を落とすのではなく置くように、注ぎ口をできるだけ粉に近づけたまま振り回すことができます。注ぎ口の細さが根元から一定のタイプは、1、2杯の少量抽出には適しているようです。

ネルドリップ

Drip 蒸らしと抽出

ドリップではまず最初に、少量のお湯を満遍なく振り撒いて挽いた粉に含ませます。約30秒待ってから、粉の中央部にお湯を置くように少しずつ注ぎます。粉が膨らんでくるので、全体的に丸くなるように注ぐ量と場所を調節しながら注ぎ続けます。いわゆる、のの字を書くように注ぐというのがここです。ドリップの見せ場でもあるのですが、人によって淹れ方はまちまちで、のの字を書かない人もいますし、蒸らしは必要ないと考える人もいます。私もまだ試行錯誤中なので、初めて入る喫茶店でマスターがどのように淹れるのかを見るのが楽しみのひとつです。

サーバーとやぐら

Server コーヒーの仕上がり

Melittaのサーバーでコーヒーを受けます。ネルフィルターを載せるやぐらは便利なので使っていますが、場合によってはフィルターを手に取って斜めに傾けて、お湯の浸透具合を調整することがあります。サーバーは落としたコーヒーの量を測れるので必須アイテムです。仕上がりの分量をいつも一定にすることが、味の違いに気づくために必要な習慣だと思います。

珈琲の入ったカップ

Enjoy 一杯を味わう

至福のひとときに浸ります。